うーん……。
久しぶりに腰を落ち着けて試合を観ることができましたが、どこかモヤモヤしたものが残ったオリンピック・リヨン戦。
しかし一方で、この大会が興味深く面白いながらも勝ち抜くのは容易ではないということを改めて感じさせてくれました。
ベスト8進出をかけた2019/20シーズンのチャンピオンズリーグ再開。
ユヴェントスはリヨンと対戦し、アウェイでのファーストレグを1-0で落としました。
下馬評ではユーヴェ有利な声が多い中、リヨンは指揮官ルディ・ガルシアが見事なタクトを振るい、選手たちが最後までその役割を全うして逃げ切ったように見えました。
驚きはありません。むしろリヨンがしっかりと準備して勝つべくして勝ったように思います。
ユーヴェはいつもの4-3-3を選択。前線は左右にクリスティアーノ・ロナウドとファン・クアドラード。中央にパウロ・ディバラという並び。ゴンザーロ・イグアインはベンチスタートでした。
これに対しリヨンは3バック。しかし、よく見ると守備時は両サイドが引いてきて5人が綺麗に横一線に並ぶ実質5バックになっていたのは明らかでした。
結果的にこれがユーヴェのアタックを封じ込めていたように見えます。イタリア国内の試合で見られるようなアレックス・サンドロが敵陣深く攻め上がるシーンは皆無で、前半は好調ロナウドが局面を打開してチャンスを作った以外はほとんどノーチャンスでした。
また、ピッチのどこにいるのかわからないくらいミラレム・ピャニッチが完全に封鎖され、ユーヴェはほとんど彼からゲームを組み立てることができませんでした。
リヨンはピャニッチを封じ、マイボールになると両サイドが攻め上がり、激しく左右に散らして上手くユーヴェを混乱に陥れました。
そして彼らの中心にいたのがフセム・アワール。
私が最も注目していたこの背番号8がマン・オブ・ザ・マッチに値する活躍を見せました。リヨンの攻撃はアワールを経由することが多く、事実決勝点をアシストしたのが彼でした。
相手を背負っても一瞬でかわして前を向き、あるいはディバラを簡単に股抜きしていたシーンはとても印象的です。
試合全体を通して何としても得点を許さないという強い意志を感じるファイト溢れるリヨンのプレーはこの日の彼らを象徴していました。
後半に少しオープンな戦いになった時もセンターのディフェンスは崩れず。それはまるでゴールに鍵をかけるイタリア式カテナッチョを思い起こさせるくらいでした。
リヨンはユーヴェを徹底的に研究し、シナリオ通りの結果を出せたのではないかと思います。そのチームとしてのまとまりに拍手です。
ユーヴェは最後までゴールを奪うことはできませんでした。低調なパフォーマンスだったことは確かですが、どこか地に足が着いていないような印象が残りました。
ホームでのセカンドレグでユーヴェに突破の可能性はあるのか。
おそらくガルシアはファーストレグ同様、まずは守備重視でチャンスがあれば1点を取りに行くというスタイルで挑んでくることが予想されます。
これに対するユーヴェのベンチに座るマウリツイィオ・サッリの采配に注目が集まります。選手を代えるのか、戦い方を変えるのか。
あまり考えたくはありませんが、もしここで何もできずに敗退するようなことがあれば、サッリがチャンピオンズ奪回を目指すユーヴェで指揮を続けていくのは難しいのではないかと思わざるを得ません。勿論選手たちの何としても勝ち抜くという強い思いは重要ですが、彼らをまとめる指揮者の采配はユーヴェが突破できるかを左右します。
確かなことは個人で打開できる頼みのロナウドがフリーキック以外では好調を持続していること。重要な大会での経験豊富な彼が決定的な仕事をしてくれるのを期待です。
ここから活躍を期待する選手を1人挙げるとするならば、ディバラをプッシュしたいところ。彼が現在の自身のポジションでプレーするのをどう評価しているかはわかりませんが、活躍できるポテンシャルは十分に秘めているのです。
リヨンのディフェンスは強固であり、それを崩すのは容易ではないことがわかりました。つまり局面を自ら打開できる力が必要になります。頼りのロナウドが徹底マークに遭うことはわかっており、それをカバーして違いを作ることができる選手は限られてきます。徐々に調子を上げてきているようにも見え、”ディバラッシモ”な活躍を期待しています。
ロナウドとその仲間たちがこの試合でリヨンの選手たちから感じたような強い気持ちを示し、心技体すべて揃った状態でセカンドレグを迎えてくれることを願うばかりです。
最後の最後まで……。
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